25

1999年6月15日発刊
※B5版用紙に印刷出来る様、若干行間を変えてあります。

     §今月の工房から

− 標準的な食器戸棚 −

80cm(幅)×45cm(奥行き)×180cm(高さ)
素材はTAMA CRAFTの定番であるカナダ杉材を使用しております。
この大きさは、一般の家庭向きとしては小型であり、独身者か、別荘のような建物向きです。
本体の幅を80cmとしたのは、これでも天板やトップモールディングの部分では90cmあり、本体の幅を90cmにすれば、この部分が100cmになり、一般的な182cmの材からの木取り効率が非常に悪くなるからです。
技術的には、本体は・・・3/4インチ(19mm)の板材を使った、ごく一般的な板組の箱物の構造を取っており、変わったところはありませんが、ガラス扉の構造に特色があります。
この扉は片側が3枚のガラスに分かれているように見えますが、実際は片側が1枚のガラスであり、桟は表側からだけの飾りです。
これでも桟の加工は結構難しく、工夫を要します。以前のTAMA CRAFT通信で「ガラス扉の研究」と言う記事で作り方の説明を致しましたが、現在TAMA CRAFTが採用している方法はより単純化されておりますので、次回の「TAMA CRAFT通信」でご紹介致します。


1.クラフトフェアー

新宿OZONのクラフトフェアーに参加いたしました。定員210名に対し、応募が500人以上あり、抽選の倍率は約2倍との事でした。TAMA CRAFTは6種30点ほどの雑貨小物を準備し、完売する事が出来ました。このOZONのクラフトフェアーは私たちがいつも見ている、長野、山梨のクラフトフェアーとは大きく異なっておりました。品目の構成は長野、山梨のクラフトフェアーの場合、木工と陶芸が多く、この2品目で全体の半分以上を占めますが、OZONのクラフトフェアーは陶芸、ガラス、テキスタイル、アクセッサリーが多く木工は、ほとんど出展しておりません。この品目の構成とも密接な関連があるのですが、クラフトフェアー参加者(出展者、お客様の双方)の約9割以上が女性(特に10才〜30才台の若い女性)であり、男性が極端に少ないことに驚かされました。TAMA CRAFTの商品を買っていただいたお客様は、このOZONのクラフトフェアーの主流とは異なり、40歳代、50歳代の中年、熟年の方々です。これは、年齢に付随する購買力の問題ばかりでは無く、木工製品が若い女性にとって全く魅力がない事を示しているのではないかと反省しております。今後は若い女性も注目する機能とデザインを持った商品を考えて行く必要がある事を痛感致しました。


2.ホームページ
4月から開設する予定でしたTAMA CRAFTのホームページが大幅に遅れ、やっと6月4日から全体が見られるようになりました。まだ完全に完成したわけではありませんが、今後も地道に少しずつ改良して行きますのでご期待下さい。前号でご連絡致しましたアドレスには「〜」マークが含まれていましたが、この度、「〜」(チルダ)マークなしでも良い事になりました。(「〜」をつけても良い)URL http://members.tripod.com/tamacraft/前号でE-Mailアドレスをお持ちの方は、TAMA CRAFTにご登録下さいと呼びかけたところ、約70名のご登録を戴きました。全会員数1400名の約5%です。5%が多いのか少ないのかは難しい問題ですが、私は予想外に多かったと考えています。ご登録戴いた方との連絡は、既にE-Mailで行われており、非常にスピードが速くなったと思います。別に、お手紙、FAXでのお問い合わせを差別しているわけではありませんが、E-Mailに対するご返事は私にとって事務上の負担が軽く、お問い合わせには24時間以内にご返事を差し上げていると思います。TAMA CRFATを始めた数年前は、個人でFAXをお持ちの方はほとんどおられませんでしたが、現在はTEL/FAX兼用機を含めれば、60%以上の普及率であると思います。この例を挙げるまでもなく、この種のニューメディアはある時点で急速に普及する事がありますので、TAMA CRAFTもその準備だけはしておこうと努力中です。


3.曲木(その1)
日本の伝統的な曲げわっぱの容器やシェカーのオーバルボックスの曲木は薄い板材を熱湯で煮て、型に添わせる事で作られていますので、家具の曲げ木も基本的には同じではないかと漠然と考えておりました。しかし、カナダのLee Valley TOOLS社の技術資料を入手し、読んだところ、厚い板材の曲木の場合は全く違うことが分かり驚かされました。同社の技術資料が挙げる曲木細工の基本は次の点です。
木材の繊維の束はリグニンと呼ばれるの物質で囲まれている。曲げ木はこのリグニンを化学的又はマイクロウエーブ又は蒸気等で可塑化させ曲げやすくする事で達成される。最もよく使われるのは蒸気加熱であり、加工材の厚み25mm当たり1時間が適当であり、過加熱は良くない。人工乾燥された材はリグニンが永久的に硬化してしまっており、加熱しても十分に可塑化しない。同様な理由で自然乾燥でも、水分率が10%以下になった木材は曲げ木に適さない。(自然乾燥で水分率25%位の材が最も適している。)
曲げ木加工中には木材には強い圧縮力がかけられねばならない。
木材の繊維は引っ張りには非常に弱く、0.5〜1%伸ばされると破断する。
引っ張りがかからず強い圧縮力をかけ曲げるためには、加工材の外側に鉄のバンドを固定し、伸びないようにして、内側を押しつぶす様に曲げる。
たとえば、厚さ1インチ(25.4mm)で長さ18インチ(457mm)の加工材を半径4インチ(100mm)で曲げると、外側が18インチに保たれるのに対し、内側は16インチに約2インチ(50mm)も圧縮されることになる。
針葉樹材は本格的な曲げ木細工には適さない。広葉樹材も適す樹種、適さない樹種がある。参考のために厚さ1インチの材の最小曲率を以下に示す。(自然乾燥で水分率25%が前提、数値が小さいほど曲げやすい。)
オーク、ヒッコリー、楡 2インチ
クルミ 3インチ
アシュ(タモ) 4.5インチ
チェリー 6インチ
メープル 8インチ

(1)については煮るのと蒸すのとどちらがよいかと考えておりましたが、蒸気で蒸すのが常道と知りました。蒸す時間も思ったより短く、1インチで1時間と言うのは非常に短いと言う印象です。

(2)は言われてみればなるほどと言う感じですが、現実問題、自然乾燥が保証され、水分率が25%以上の広葉樹材の入手は以外に難しく頭を抱えております。

(3)が最も驚いた点です。そういえば、TVの番組で曲げ木の家具を作っている工場をみたことがあり、そのときに、蒸気釜から出した加工材に鉄の帯をボルト留めしているのを見た覚えがあります。但し、この鉄帯が木材の伸びの防止のためとは気がつきませでんでした。木材の繊維は伸びには非常に弱いと言うのも分かりますが、全長450mmの木が圧縮され、50oも寸法が縮むと言うのには驚かされました。

(4)についても言われてみればその通りであり、実際の曲げ木の家具はブナ材やオーク材が多いと思いますし、チェリーやメープルの様な散孔材で緻密な材の曲げ加工品は見たことがありません。針葉樹材が不適と言うのは曲げわっぱの例があるので意外と感じるかもしれませんが、3mm程度の薄板の場合は内外の寸法差がほとんど出ないと言う事だと思います。

今までは、長いブリキの風呂を作り、木材を半日ほど煮て、合板で作った型にクランプで固定し、1週間も乾燥させれば、曲げ木細工は出来る物と漠然と考えていましたが、これでは本格的な曲げ木加工は全く無理なことが分かりました。蒸気の発生装置、鉄帯の固定装置等、専門的な装置が必要なようです。
TAMA CRAFTではLee Valley社からこれらの装置を購入し、実際にテストしながら、本格的な曲げ木細工について次号以下でご報告したいと考えております。


4.ラスティック ファニチュアー

”RUSTIC”と言う言葉をご存じでしょうか。研究社の辞書を引くと、「田舎の、質朴な、粗造りの」と書いてあります。
従って、”RUSTIC FURNITURE”と言えば、田舎風の又は粗造りな家具と言うことになります。よく似た言葉に、”COUNTRY FURNITURE”と言う言葉があり、こちらはおなじみであり、「田舎風の家具」と言う意味です。この場合の田舎風とは、家具の主流であった、いわゆる「様式家具」に対応する言葉であり、特に粗造りと言う意味は含まれていません。

従って英語で「RUSTIC FURNITURE」とは特に粗造りの家具という意味と解釈でき、実際に「RUSTIC FURNITURE」と言う本を購入し内容を見てみますと、製材しない、木の枝で作った家具が中心であることが分かります。
このような家具は現在は非常に希ですが、昔は開拓者が最初に作る家具として、実際に使用された物の様です。
このような家具の構造は木の枝に穴をあけ、その穴に入るように丸く削ったホゾを挿入する事で構成されており、シェカーの椅子と基本的には同じ構造です。シェカーの椅子は木工旋盤を使用しており、丸ホゾも正確に加工されておりますが、木の枝の場合は旋盤が使えず、単純にナイフで削るのかと思っておりましたが、本を見ますと、当時でも木の枝の先端を丸ホゾ状に加工する、鉛筆削りの親玉の様な機械があった事が分かりました。
この鉛筆削りの親玉の様な機械を探して見たところ、カナダのLEE VALLEY社と言う会社が現在も販売していることが分かり、早速取り寄せて見ました。
この機械は、ドリルの先端に取り付け、加工材を定盤の固定し、押しつけて使う物ですが、実にうまく加工できます。
この機械を使い、最も簡単な椅子であるスツール(縦、横40cm、高さ30cm)を作ってみたところ、使い勝手が非常に良く、形も素朴で良いと言う評判でした。
最終的にはきちんと背もたれと、アームレストがついた椅子を作るつもりですが、今までに得た基本的なノウハウをご紹介致します。

(1)枝のサイズについて

脚材は40mmから45mm、貫材は25mm前後が適当です。但し、自然の木ですので、以外に適当なサイズを見つけるのが難しく、あまりこだわる必要はないと思います。
なるべくまっすぐの物が作りやすいのですが、これも多少でも曲がってると駄目と言う訳ではありません。

(2)乾燥
全くの生木は作ったすぐ後は良いのですが、収縮がすぐに始まり、1ヶ月もすればホゾがガタガタになります。理想的な事を言えば、木が水分を落としている厳冬期に切り出し、最低半年ほど乾燥させた物が良いのですが、急ぎの場合は、とりあえず、生木で作り、半年後に、分解し、接着剤を使い再組立する方法もあります。特に、脚材の断面は乾燥のバランスが悪く割れが入りやすいので、木工用ボンドをたっぷりと塗り込み、乾燥を防止して下さい。
(3)接合

25mmの貫材に3/4インチのホゾを加工し、同寸の穴にたたき込みます。ホゾ穴を脚材の太さぎりぎりまで深く取り、十分に挿入すれば、そのときは何の接着もいらないほどしっかりとした物が出来ますが、木の収縮で、すぐにガタが出ますので、目立たないところに3mm×35mmぐらいの木ねじを打つのが良いと思います。その後乾燥でガタが出始めたら、瞬間接着剤を流し込みガタを止めて行きます。十分に乾燥した木を使う場合は、最初から接着剤(木工用ボンド、エポキシ等)を使います。
なお、木の曲がりを考慮しホゾや穴の方向を微調整する事を考えると、加工が非常に複雑になります。実務的には、木の曲がりは一切無視し、ホゾ、穴ともにまっすぐのつもりで加工する事をお勧め致します。このように加工して、組立時に無理填めした方がかえって丈夫な物が出来ます。

(4)座

座はひもを編んで作ります。材質は紐か、テープです。この座の材料と編み方については、「手作り木工辞典NO.38」で鯛工房の葛城さんが詳しく解説していますので、参考にして下さい。紐の場合は、家具用のペーパーラシュは入手が難しく、腰がありすぎて初心者には扱いづらいので、お勧めしません。

TAMA CRAFTのお勧めは、植木屋さんが使う麻縄です。(実際は東南アジアのジュートが多いようです。)大手のホームセンター、ガーデニングショップで安く買えます。綿テープは数年前迄は大きな手芸用品店で色々な色が買えたのですが、最近は手芸と言う言葉が消えてしまったのではないかと疑うほど手芸材料店が減っております。
しかし、それでも大手を探せば、25mmの綿テープ(実際は綿ではなくアクリル繊維の様です。)は入手可能です。
紐、テープの長さは計算すれば分かりますが、以外に必要量は大きく、5〜6 mmの紐の場合約100m、25mmのテープで25mほど必要です。
紐で編んだ方が「RUSTIC」な感じがより出ますが、葛城さんの記事を読んでも編み方が分からない場合はテープを市松模様に編むのが簡単です。
(テープの市松模様の場合も、裏側もまじめに編む事と間に10mmほどの柔らかいウレタンシートを入れるとより良い物が出来ます。)
最後にLee Valley Veritas社のパワーテノンカッターの値段をご紹介致します。
5/8インチ 基準価格¥7,900
3/4インチ ¥8,200
1インチ ¥8,500


5.RALI PLANE
TAMA CRAFTでは、いわゆる木工用の手工具を殆ど使用いたしません。とは言っても、組立後のちょっとした目違いの修正等は、小型の手カンナに勝る物はありません。
但し、この仕上げ段階で軽く掛けるカンナはともかくよく切れることが絶対に必要であり、私のもっとも苦手とするところでした。「手作り木工辞典」誌上で、最近本岡さんが紹介した、替え刃式のカンナである。「河よし」は確かに従来の替え刃式のカンナとは比較にならない、本格的な切れ味を示しますが、小型の物はありません。
数あるホビー用の替え刃式の物は全く使い物にならず、仕方なく小型のカンナの刃は自分で研いでおりました。ところが、意外な所に良い物がありました。それが、ここでご紹介するスイス製の替えは式カンナであるRALIプレーンです。
西欧の押して使うカンナは全くノーチェックでしたが、このRALIプレーンは手のひらサイズで、本来は押して使う物ですが、日本式に引いて使っても全く問題ありません。(大型のカンナはやはり腰を入れて引く方が良いと思いますが、小型のカンナは押して使った方が良い場合もあります。)
RALIプレーンの優れた点は替え刃の材質が”さすがにスイス製”と言うぐらい、よく切れて且つ、長持ちします。(替刃は両刃になっており、両面使えます。)もっと驚かされるのは、刃の出し入れが実に簡単であり、レバーを動かすことで、無段階で非常に微妙な調整が出来ます。
このRALIプレーンには、ブラックニッケルとブルークラフトマンと言う2グレードがあります。基本的には全く同じ物ですが、ベースの作り方、材質が異なります。ブラックニッケルは1mmぐらいのニッケルメッキした鋼材を重ね合わせた構造であり、クラフトマンは一枚の板をプレス加工した物です。
ブラックニッケル 基準価格¥9,750
ブルークラフトマン 基準価格¥5,250
替え刃(共通、2枚) 基準価格¥1,125


6.輸入広葉樹材

手狭な東京のTAMA CRAFTでは荷下ろし、保管、発送業務等いろいろと問題が多く、しばらく中断していた広葉樹材の輸入を再開致します。
輸入再開の目途が付いたのは、この度小淵沢の工房にトラックが直接着けられる屋根付きの材木置き場が完成したからです。これで、横持ちを殆どせずに荷下ろしが出来、その場で発送の為の梱包が出来るようになり、雨濡れ等の心配が無く、品質が維持されたまま皆様の手元にお届けする事が可能になりました。
大量の在庫を置くスペースはありませんので、今回の輸入は予約制に致します。ご予約の締め切りは7月15日、お渡しの予定は8月の末になる見込みです。

樹種 価格
チェリー \400,000/リューベ
マホガニー \385,000/リューベ
ブラックウオールナッツ \385,000/リューベ
レッドオーク \315,000/リューベ
ホワイトオーク \315,000/リューベ
ホワイトオーク(柾目) \450,000/リューベ
メープル \315,000/リューベ
アシュ \315,000/リューベ
2 注文の単位
0.05リューベ単位と致します。0.05リューベとは厚さ2.5cm、幅20cm、長さ180cmの板に換算した場合約5〜6枚です。チェリーの場合これで¥20,000です。
3 品質
SELECTグレード、いわゆる無節の家具用材であり、両面ともプレーナーを掛けた仕上げ材です。
4 寸法
広葉樹材の場合はいわゆる定尺物はなく、厚みだけが決められ、幅と長さは乱尺(90〜180)、乱幅(10〜20cm)となります。
5 厚み
厚みは、公称4/4インチ(1インチ=2.54cm)ですが、両面をプレーナー掛けするため実寸は13/16インチ(20.6mm)です。(リューベの計算は2.54cmで行います。)
6 特注品
樹種あたり0.2リューベ以上ご注文の場合は、5/4、8/4インチの厚板もお受け致します。(未仕上げ材)
7 新商品
今回からの新商品として、小物雑貨作りに便利な広葉樹の薄板を準備いたしました。
厚みは1/2インチ(12.7mm)と3/8インチ(9.5mm)で両面サンダーがけされたすぐに使える良材です。
樹種は下記の樹種です。単位は5スクエアーフィート(約0.45平米)単位でバンド掛けされています。(この商品の運賃は宅急便の120サイズです)
樹種 12.7mm 9.5mm
アシュ 1,935 \1,890
チェリー \3,240 \3,150
メープル \2,520 \2,475
マホガニー \3,330 \3,240
レッドオーク \2,115 \2,070
ブラックウオールナッツ \2,925 \2,880
8 運賃
宅急便の範囲を超え、路線便になりますので下記を参考にして下さい。
(0.05リューベ当たりの運賃)
北海道 4,420
北東北(青森、秋田、岩手) 3,780
南東北、関東、信越、中部、北陸 3,580
関西 3,780
中国 4,000
四国 4,200
九州 4,420
沖縄 7,780
−以上 −



TAMA CRAFT
代表 芝地 正履
〒158-0092 東京都世田谷区野毛1-12-6
TEL 03-3701-0968

小淵沢工房
〒408-0032 山梨県北杜市長坂町大井ケ森1176-659
TEL 0551-32-6709
FAX 0551-20-4331
E-Mail : shibachi@tamacraft.com
URL http://www.tamacraft.com/

All Rights Reserved, Copyright© TAMA CRAFT 1999-2003